ビッグ・バッド・レポート

ゆるゆると書く、現代アートを中心とした人文系ブログ。批評したい。noteにも同じ名前で同じ記事が上がる。Twitter→@onoren2001

ゆめおおおかアートプロジェクトの失敗(?)

・自分は横浜、ってところに住んでるんだけど(普通に嘘)、結構ここってアートに力を入れてるんだよね。3年に一回巨大な芸術祭「ヨコハマトリエンナーレ」を開いたり(今年のについてはいろいろ書いているから読んでよ)、そもそも持ってる美術館がめっちゃ大きかったり。

・その一環として、かつて(1997年だから、自分が生まれるちょっと前)に、上大岡駅前を再開発し、駅ビルである「ゆめおおおか」にたくさんアートを設置しよう!っていう試みがあったらしい。

・それが「ゆめおおおかアートプロジェクト」。企画のプロデューサー的な立場に立っていたのは、なんとあの南條史生さんだったっていう(この間まで森美術館の館長やってた人ですね。まあぼくはあんまり好きってわけじゃあないんだけど)。

・これは余談だけど、現代アートにおいて南條さんがどのような影響力を持っていたのかっていう、いわばあの人の功罪のようなものは、本気で検討されるべきなんじゃないかっていう気がするよ。マジで。

・参加アーティストも、村上隆奈良美智福田美蘭岡崎乾二郎などなど、めっちゃ豪華だっていう。

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・こんな豪華なアートプロジェクトなんだけど、まあプロジェクトとして成功してるか?っていわれたらあんまりしてないっていう。なぜなら、街行く人々に、「ここってこういう、アートのたくさんある地区なんだ」って思わせるのに失敗しているところがあるから、いわば一つのプロジェクトとして認識させるのに失敗しているっていうか。

・具体的に言えば、一部、なんなら一つくらいしかアートとして認識・鑑賞されてない感じがある。まあそれが、一番目立つ位置にある奈良さんの彫刻群からなるインスタレーションなんだけど。

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・ほかの作品は、大体が目立たない位置にあるか、あるいは普通にアートとかではないモニュメント、あるいは謎の文字として認識されてしまいそうだから、知らないとアートとして発見するのが難しいという。

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・しかも、これがプロジェクトなんです、って明言し、いろいろな作品の存在を示すようなキャプションがほとんど存在していないに等しい(自分は見つけられなかった。あるのか不明。)

・これらは普通に、プロジェクトの存在を知って見にくる人にとっても不便さでしかない。ネットの地図を見ながら見つけなきゃって感じだし、結構歩き回る必要が出てくるし、そしてそれでもなお見つけづらい作品があるし(岡崎乾二郎さんの作品はかなり難易度が高かったし、須田悦弘さんの作品は実在を疑ってる)

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・もちろん功績はめっちゃ大きいとは思う。常設でこれだけの作家が見れることってなかなかないし。また、こういう地獄めぐり的な鑑賞体験であることが副次的な美的経験を生んでいたり、なんて思ったりする(町おこし的アートプロジェクトとしてはどうなのかっていう)(いずれ批評に挑みたいな)。